道で寝る

文と絵 山口高弘

 商店街の向こうに青空が見える。道路は細くまっすぐで、午後の陽が暖かく照らしています。僕が目当てのラーメン屋へ歩いていると、向こうで通行人が滞っている所がありました。みな何かをよけて歩いている。それは一匹の犬でした。
 ある商店の電柱につながれたビーグル犬が、道に横たわって寝ていたのです。その寝方がすさまじく、車道に頭がはみ出んばかりです。通行人は仕方なく犬の頭の上を跨ぐように歩いていきます。自転車だって通る。でも犬は目覚めない。春の陽を吸い込んだアスファルトの温度を体の半分で味わって、残りの半分は直射日光を浴びて、ゆっくりと横っ腹を上下させています。近くの踏切からタクシーが苛立ったようにびゅんと通り過ぎました。危ない!タイヤから犬の頭まで40センチも離れていません。それでも犬は動かない。
 僕も犬の前を通り過ぎましたが、気になって振り返りました。「なにも命がけで眠ることないじゃないか」と問えば、「うるさいなあ、死ぬほど眠いんだよ、いま」とでも言い返しそうでした。
 ラーメン屋からの帰り道。犬は起きていました。通行人が餌をやって頭をなでて行きました。僕が近づくとハッハッと媚びた顔で起き上がり、「なでろ」とせかします。携帯電話のカメラを向けると次々とキメのポーズをとる。踏切と青空をバックに、愛らしい写真が撮れました。すると犬は、餌をねだりました。「菓子はいま持ってないよ」と謝ってその腹を見ると、ぽってりと腹だけ太っている。こいつ。おねだりするプロだな。
 犬を通り過ぎて踏切を渡る時、気づきました。危なっかしい、マイペース、可愛げがある…ちゃっかり者!あの犬こそ処世術の先生じゃないか。振り返ると先生は、やっぱり車道すれすれに寝そべって、腹をゆっくり上下させていました。

☆山口高弘 1981年市原生まれ。
小学4年秋~1年半、毎週、千葉日報紙上で父の随筆イラストを担当し、本紙では97年3月~イラストを連載。

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