季節のスケッチ
- 2014/7/18
- 市原版

俳画と文 松下佳紀
梅雨時にふと思う。人間だけが持つ傘について。他の動物は毛皮や丈夫な皮膚があるので雨にふられても平気だが、裸同然の人間は雨にぬれては困る。それで雨を防ぐ道具を発明したのだと▼大昔は蕗の葉っぱか木の枝を頭上にかざしたのだろう。それがどのようにして発展したのか…。今では折りたたみ傘から日傘兼用まである。その多くが洋式のこうもり型である▼さて、私は小学校時代に唐傘とも番傘ともいわれる和式の傘を使用した経験がある。竹の骨に油紙を張った竹の柄の傘だ。今の若い人たちは時代劇でしか見たことがないに違いない。そんな傘を用いたのは、当年七十三歳の私の同世代あたりが最後なのではないだろうか。