- Home
- 市原版, シティライフ掲載記事
- 子どもの目線に立った空手指導に打ち込む
子どもの目線に立った空手指導に打ち込む
- 2014/7/25
- 市原版, シティライフ掲載記事
帝京平成大学2年 高 橋 千 尋さん
市原市在住の高橋千尋さん(19)は、現在、帝京平成大学に通う2年生。今年4月に行われた『2014国際親善空手道選手権大会』の型15歳から34歳女子の部で見事優勝、2連覇を果たした。毎週水曜日には東国分寺台にある極真会館五井道場で子どもたちに空手の指導もしている。
高橋さんは、「幼稚園の弟がやっていたのを見て、小2の時始めた。組手よりも型が好きで、練習するほどのめり込んだ。レベルの高い都内の道場へ教えてもらいに行くこともあった」と空手を始めた経緯を話す。すっと伸びた背筋にお腹の底から出ている掛け声は、聞いているだけでしゃきっとした気持ちにさせられる。
小6の時からすでに道場で幼稚園クラスの手伝いをしていた高橋さん。師範の石田伸太さんは、「通常なら黒帯を取るのに6、7年かかるが、彼女は3年で取ってしまった。卒業していった生徒は約900人で、黒帯取得者は30人だけ。実力がある」と高橋さんを評価し、「先生としても、自分では子どもたちと世代が違いすぎて気を使うけれど、歳が近いから頼りがいがあるのでは」と続けた。
取材日に練習に訪れた型クラスの生徒は15人。小学生という幅広い学年が一緒に学ぶ中、学年が上がるにつれて素早さが増し、動きも複雑化していく。難易度が上がる分、高橋さんの指導する声にも力が入る。
大学では理学療法を専攻して忙しく、朝から夕方までの授業をこなして道場へ飛んでくる。そこまで出来るのは、「子どもや教えることが好きだから」という。もちろん、悩むこともある。「武道ということもあって厳しく接することに間違いはない。だからといって、幼稚園クラスではどこまで口頭で厳しく言うべきか考える。でも、礼儀を身につけてもらいたいし、忍耐も学んでほしい。今は難しくても、いつか分かってくれたらいいな」と言って、笑顔を見せる。
型を決める子どもたちの間を歩き、短く声を掛けていく。即座に手足の位置を直すと、高橋さんに質問する子どもの姿もあった。彼女が指導する上で心がけていること。それは、「今まで空手だけでなく、多くの指導する人の姿を見て学んできた。それを生かし、『個』に注意を向けるようにしている。個人の能力を見極め、どの時期にどれくらい出来ていればいいかを考慮し、厳しく指導する」こと。
自分が生徒だった時は「生意気だった」と自嘲気味に笑うが、だからこそ子どもたちの気持ちが分かるのだろう。もっと歳をとれば忘れてしまうこともある、目線が変わってしまうこともある、彼女は今だからこそできる自身の指導法を貫こうとしているように見えた。
生徒の数は年々減りつつある。かつては男子ばかりだったのが、今では女子の方が多い。中学生は部活もあるのでトレーニング中心にして指導を変えるなど工夫をする。幼稚園クラスでは、型の種類を覚えるだけで大変だ。まずは空手に興味を持ってもらうために、いかに楽しめるか考えている。
「空手は私にとって日常の一部。受験生の時に半年ほど休んだが、離れると寂しかった。たくさん教えてもらって繰り返し練習してきたが、最近になってやっと少し上手くなっていると実感を覚えるようになった」と話す高橋さん。第1回国際親善空手選手権大会から参加しているが、悔しい想いをしたことは何度もある。初めて出場した国際大会でいきなりの決勝に残ったが、その後も優勝はなかなか叶わず、2位と3位を繰り返した。「辛い日々だった」と振り返るが、「何度試合に出ていても、本番は100%出し切れない。自分の理想の型があって、まだまだ到達していない」とはっきり語る。また、「母は始めた頃から、私と空手の一番の理解者。今でもよく型や指導の相談をする。私が気づかない視点を教えてもらったりといつも頭が上がらないし、尊敬している」のだとか。今後も空手指導を続けることを希望し、日程が会えば来年度の国際大会にも出場する予定。彼女のもつぴりっとした雰囲気の中にも、女性ならではの細やかな気遣いを感じられるクラスはオススメに違いない。
問合せ 石田さん
TEL 090・6650・1693