方形墓跡と集落跡を発掘

松崎中里遺跡

 7月から8月にかけて、市原市松崎の県道13号線沿いで、約1700年前(弥生時代から古墳時代初期)のものと見られる墓の跡と約1300年前(古墳時代後期から奈良時代)のものと見られる集落、竪穴式住居跡と掘立柱建物跡が発掘された。磯ケ谷バイパスの道路工事に伴う事前調査で発見され、平成23年にも財団法人千葉県教育振興財団による調査が行われていた。
 周辺一帯は松崎中里遺跡として知られている。現場は南北に細長い長方形の土地で、関東ローム層の黄色い土が見えることころまで掘り下げられていた。角が丸いロの形に溝をめぐらした弥生時代特有の方形周溝墓が北側に2つと、墓と重なる状態で丸い柱の跡が数カ所見受けられた。南側にも、柱の跡の大きな丸い穴や楕円の穴がいくつか見られた。柱跡の穴は直径約60センチから90センチ。「大きめの穴を掘ってから柱を埋め込んだものと思われます」と千葉県教育庁教育振興部 文化財課 発掘調査班の半澤幹雄さん。
 一辺が約4メートルの四角い大きな穴は竪穴式住居跡だと考えらる。四方に柱穴があり、4本の柱で屋根を支える構造であった。調理用のかまどの跡も残っていた。これに対して南側の穴は、3~4基の穴が直線的に並んでおり、掘立柱建物の跡だとみられている。畑と道路に挟まれた狭い土地なので、いずれの遺構も途切れており全形を見ることはできない。また、墓の溝からは坩と呼ばれる古墳時代前期の特徴を持つ土器が1点と、辺り一帯で弥生から奈良、平安時代前期までとみられる土器の破片が多数見つかっている。人が埋葬されていたと推測される、角が丸い長方形のくぼみもあった。「周囲の溝にも埋葬していたと考えています。おそらく家族墓でしょう」
「墓の形式は弥生時代のものだが、出土品は古墳時代のものが多い。埋葬主体部の存在も古墳時代を指し示すものだが、古墳時代以降は北枕など埋葬する方角を意識し始めていたのに対し、その設置方向は東西に向いていて弥生時代的。このことから、現時点では弥生時代の形式を踏襲、または引き継いだ古墳時代の墓であったと考えています」
 更に、それらの墓建設の400年後、その上に竪穴式住居、隣に掘立柱建物が建てられた跡が今回の発掘で明らかとなった。「住居跡は墓の上に重ねられているが、掘立柱建物跡は重ねられていない。何か理由があったのか。まだまだ分からないことはたくさん。調査、検証中です」と半澤さんは、長い年月を経て姿を現した複数の跡を見つめた。

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