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ありのままを見せることでコンプレックスが自信に
- 2015/2/6
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アルゼンチン・バックブリーカーズ
「音楽があってこその人生。時にはハッタリも大事ですよ」。そういって笑うのは、ギター&ヴォーカルユニット『アルゼンチン・バックブリーカーズ』の市原裕之さん(45)。千葉市在住の市原さんが市原市在住の宮本紀子さん(50)とユニットを組んで1年が経った。名前の由来は、2人が好きなプロレスの技名。別名『背骨折り』ともいい、インパクト大で格好よさを感じたことから名付けた。「基本的にはカーペンターズやシンディーローパーなど洋楽の懐メロを中心に歌っていますが、ジャズのスタンダードナンバーや邦楽も独自のアレンジを取り入れています。誰でも一度は聞いたことのある音楽が中心です」と話す宮本さん。
2人の出会いは、市原さんの所属するバンド『リトル・バーズ』の演奏を聴き、宮本さんがファンになったことだった。「音楽を始めたのは中学生くらいです。60年代の洋楽がルーツになっているとは思いますが、お風呂に入っていると曲や歌詞は自然に浮かんできますよ」と飄々と語る市原さんだが、宮本さんは「素人とは思えないほどかっこいい曲と演奏なんです!」とユニットを組んだ今も市原さんのバンドに惚れこんでいる。共に高齢者の介護職に就いていることもあり、初めからウマが合った。お互いを『親子、姉弟、親友』のような関係だと笑い合う2人がユニットを結成したのは、必然だったのかもしれない。
この1年間で多くのライブをこなしてきた。多い時には月7本。出演の機会を与えてくれる人の声を断ることなく走り続けた12カ月だった。スタジオを予約してきちんと練習することは、仕事と家庭を抱えた状態ではなかなか叶わない。音を録音して送り合ったり、電話での調整を重ねてきた。現在のレパートリーは30曲ほど。
「本番が練習、毎回セッションのような感じ。それでも、バッチリ合ったときが楽しいんですよ」という市原さんは、決して口数が多い方ではない。「市原さんはチャラいように見えますが、音楽を続けるために毎日筋トレやランニングもしているんです。苦労を外に見せるのは格好悪いと思っているけど、努力家です」と話す宮本さんに、市原さんも照れ笑い。引っ張り役は宮本さんかと思えば、そうではないようだ。気持ちを隠すことなく、「私は本番前にいつも緊張してしまうので、それをほぐしてくれるのが市原さん。失敗したらどうしょうと毎回考えてしまう私を励まし、笑わせてくれるんです」と続けた。
ユニットを組むきっかけもそうだった。『ジャズを歌うには声が弱い』と言われ歌うことに自信をなくしていた時、声をかけてくれたのが市原さんだったのだ。「ジャズ特有の歌い方とは違った味があるんです。なかなか、これだけフラットに歌える人はいないんだよ」とコンプレックスを認めてもらえたことが、『これでいいんだ』と歌を続ける宮本さんの自信に変化したのだ。同じ歌でも違う人が歌えばそれぞれの味になる。たくさんの音を聴くことで己の懐も深くなる。完璧な声を出せなくても、失敗してもいいんだと思えるようになった。「間違えないようにするのは発表会。手拍子したくなる空間を作れればいいんです。多少失敗しようがライブの本質は、お客様に喜んでいただくこと」と2人は話す。
『アルゼンチン・バックブリーカーズ』はまだまだ始まったばかり。ライブでは音だけでなくトークでも魅せる。「市原さんは天然なんです。ステーキハウスでお肉を焼いてもらう時、レアとかミディアムとか頼みますよね。どう焼きますか、と聞かれて『一生懸命焼いてください!』と答えるほど」と小ネタを披露する宮本さん。そして、市原さんも「宮本さんは僕にとって『ベイマックス』」。とディズニー映画のキャラクターに例えて表現する。曲だけでなくこうして笑いを誘うことで、ライブに訪れた人同士が自然と笑顔で輪になっていくことを目指している。
お互いへの要望を「これからも変わらず、ありのままでいてほしい」と言う2人は、どのように進化していくのだろう。2月10日(火)正午から、市原市役所で行われるロビーコンサートに登場する同ユニット。彼らの音は、あなたの耳にどう聴こえるだろうか。
問合せ 宮本さん
TEL 080・6548・4838