ツクシはスギナの胞子茎

 春の訪れを告げる風物詩に取り上げられることが多いツクシ。日当たりが良い所ではもう見られるかもしれない。ツクシをスギナの花穂と思い込み、花の図鑑で調べたら載っていなかった。どこかの図鑑で見た記憶があり、いろいろ調べたら野草の図鑑に載っていた。
 胞子が散布されるシダ植物門トクサ科スギナ(杉菜)の胞子茎がツクシ(土筆)だという。種が散布される裸子植物門や被子植物門とは分類が異なるようだ。緑色で花穂の蕾の形に似たのは緑色の胞子を放出する前、放出した後はたくさんの小さな傘が開いたようになる。
 ツクシは食べられる野草としても広く知れわたる。だけど、春のほんの限られた期間しか摘み取れないので、食べた経験がある方は意外と少ない。今でも珍味として喜ばれる。スギナの葉と根は生薬としても利用されていた。民間薬の多くが中国伝来の漢方に対して、江戸時代にオランダやポルトガルとの交易で薬効が伝わった西洋伝来のものとされている。
 スギナは手触りがザラザラする、繁殖力が強い、いくら抜いても残った地下茎で増える、などが特徴の誰にも嫌われる野草だ。以前住んでいた所の庭にびっしりとはびこっていたときはとても手を焼いた。ツクシでも生えてくれば少しは我慢ができると思った。
 スギナが生えている場所の養分が乏しいとツクシが出て、豊かだとスギナばかりになるようだ。ツクシが見られた場所の風下では、翌年にスギナが新しく発生するということになるのだろうか。ならば喜んでばかりもいられない。胞子をまかれる前に摘み取ってしまわなければ、また苦労がはじまる。
ナチュラリストネット/野坂伸一郎

関連記事

今週の地域情報紙シティライフ

今週のシティライフ掲載記事

  1.  料理レシピ投稿・検索サービス「クックパッド」にある『市原市オッサくんのキッチン』が注目を集めている。市民に親しみをもって利用されるようにと…
  2.  広さ約1万5千平方メートルの十枝の森。敷地内には30種・数百本の広葉樹が大きく枝を広げ、例年11月の終わりから12月初旬にかけ見事に色づく…
  3.  自宅庭の落葉を片付けていたら、ゴツイ感のあるクロベンケイガニがじっとしていました。この時期は気温が低く、冬眠状態です。  クロベンケイガ…
  4.  風に揺れだしそうなコスモスの花、鳥が今にも飛んで来そうなチャイニーズホーリーの赤い実。 白地に描かれた植物からは、花びらや葉の手触りまで伝…
  5.  道の駅『みのりの郷東金』『東金マルシェ』で販売されているベジ・スイーツ『東金天門どう』。東金市の歴史文化を研究し生み出された銘菓です。 …
  6. 「寿」の文字をあしらった小袖、漁師の晴れ着と言われる「万祝(まいわい)」。県立中央博物館 大多喜城分館では、今年度の企画展として「福を呼ぶ小…
  7. 「失敗をしたと思うときはいつだって、それがあなたにとっての利益になる。素晴らしいことを成し遂げたという思いしかないというのなら、あなたはお…
  8.  昨年秋の相次ぐ台風と豪雨災害。何度も被災し一部区間が不通だった小湊鐵道が、3カ月間に及ぶ復旧作業によって、全線開通を果たしてから半年後の夏…

ピックアップ記事

  1.  料理レシピ投稿・検索サービス「クックパッド」にある『市原市オッサくんのキッチン』が注目を集めている。市民に親しみをもって利用されるようにと…

スタッフブログ

ページ上部へ戻る