日本人には、やっぱり和食

 昨秋、県社会福祉協議会主催の『第41回県民福祉セミナー 小泉式 食べ物養生訓』が青葉の森公園芸術文化ホールで開かれた。講師は東京農業大学名誉教授、農学博士の小泉武夫さん。野球が好きで、今でも硬式ボールをノーバウンドでセカンドまで投げられるという元気ハツラツな71歳だ。「今日の講義を聴いた人は90歳まで元気でいられますよ」ユーモアたっぷり、わかりやすい言葉で、和食のよさを約400名の来場者に語った。
 近年の日本人には潰瘍性大腸炎、大腸ガンなど消化器官の疾患が増え続けている。中でも目を引くのが、ここ6年ほどの平均寿命番付で急激に降下している沖縄県。直接的な原因は肉の消費量の増加と野菜の消費量の減少だと考えられる。昭和20年のアメリカ合衆国による統治以降、市場では安い肉が大量に売られ、多くのステーキハウスが立ち並ぶように。スーパーでは人工色素や防腐剤の添加されたコンビーフ、ランチョンミートの大きな缶詰が並び、それらはゴーヤチャンプルーの具材として家庭の食卓にのぼる。子どもの弁当にも頻繁に使われているのが現状だ。
 では、なぜ肉の大量消費が消化器官疾患を招くのか。「日本人という民族の遺伝子と関係があるのです」と小泉さん。生活環境に対応していけるように体はつくられていく。元来、日本人が食べていたのは和食の主材となる7つ。根茎、菜、青果、山菜とキノコ、大豆、海藻に穀物だ。体が植物食に順応するようにできている。牛乳を飲み、肉を食べてきた欧米人とは遺伝子が違うのだ。にも関わらず、50年前と比べると肉の消費量は約4倍に増えている。これほど大きな食生活の変化がもたらされた国は日本だけだという。
 「でも、肉を食べないとスタミナがつかないのでは?」という人におすすめのメニューがある。江戸時代、日本橋と京都を結ぶ中山道を旅する人が宿で食していた「ひきわり納豆と油揚げを盛った豆腐の味噌汁」だ。大豆は畑の肉との別名がある通り、牛肉と大豆のたんぱく質量は変わらない。つまり肉を摂取しなくても大豆をしっかり摂れば、充分な活力源になるというわけだ。
 野菜のいいところは繊維がたっぷりだということ。体内に入っても分解されない繊維は腸を刺激すると同時によい腸内細菌を増やす。刺激された腸はぜんどう運動が活発になり、免疫細胞をどんどん作る。結果、病気になりにくい体になる。ちなみに免疫力の強い人の大便は「太くて無臭、キレがよくて、みかん色」だそう。
 だが「肉をゼロにしなさいと言ってるわけではないですよ」と小泉さん。肉を食べてもよいが、その分、野菜をたくさん食べること。理想的な肉料理は野菜をたっぷり食べられる「すき焼き」とのこと。
 「食乱れて民族滅ぶ」ことを懸念する小泉さん、「世界遺産にもなっている和食を守り、子どもたちに伝えていかなければ」と呼びかけた。来場者は「今日は納豆汁にします」、「洋食好きな家族にも同じ講演を聴いてもらいたい。和食の回数を少しずつでも増やしていきます」と話した。

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