春の到来を告げるフキのとう

 フキのとうが顔を見せはじめてきた。これを見て、春の到来を告げる温もりと感じる方と、美味そうだなと感じる方がいる。
 フキは野草であるとともに作物でもある。この時期に食べられる露地物の野菜が少なかった時代には貴重な食材であった。どう見ても野生化していると思われる場所であっても、本来、地元の共有地や私有地のものは作物である。観光で訪れた人が勝手に採ってはいけないものである。
 キク科フキ属フキ(蕗)は雌雄異株の多年草。葉より先に花茎が出る。雄株は高さ20センチぐらいに伸び、黄白色の頭花を沢山つける。雌株は高さ40センチぐらいまで伸び、白っぽい糸状の頭花を密につける。葉は幅15~30センチの楕円形、地面から突き出た葉柄は高さ60センチ、径1センチ。
 とう(薹)とは花を咲かせる茎のことで、花芽がついた茎が伸びると「とう立ち」という。野菜売り場で売られているフキのとうは薄緑色の苞が幾重にも重なって中の花が見えない。そのぐらいが食べ頃らしい。市原の気候では枯葉の間から出るとすぐに苞が開き始め、食べ頃を逃しやすい。
 野菜の花の多くがそうであるようにフキもまた、花を眺めて楽しんでいる人を見かけない。やはり野草というより野菜扱いなのか。花が終わり、葉が延びてくると、これを摘んで葉柄を食用にする。その頃には、雌株の花茎にタンポポのそう果を半分にしたサイズの白い綿毛が束になって見られる。これがフキのそう果と知る人は少ない。
 市原の自然は豊かで美しい。大切に残していきたい。

(ナチュラリストネット/野坂伸一郎)

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