私たちは他の生き物と関わりあいながら、生きている

 国分寺公民館で主催講座『市原自然探検隊』(全3回、バス研修含)が開かれ25名が参加した。第1回目の5月17日は講義で、第1部は『市原市の生物多様性について』と題し、市原市環境部の高橋眞澄さんが生物多様性への市の取り組みについて述べた。生物多様性とは生き物同士のつながりのこと。農作物や家畜を食料とし、綿や麻の衣服を着て、木で家を建てる人間もその生き物の一員であり、他の生き物と結びついて生きている。ところが近年、人間がもたらす自然への様々な影響、さらには地球温暖化などが、本来の生態系を破壊し、多くの生き物たちを危機的状況に陥らせている。そこで、将来の子どもたちに生物多様性の恵みを享受し、自然と共生する社会を残すため、平成26年度から『(仮称)市原市生物多様性地域戦略』の策定に取り組み、市民が参加するワークショップ開催などの活動を行ってきた。今後は同戦略をまとめあげ、市民からの意見募集(パブリックコメント)も行うので興味のある方は広報などを要チェック。
 第2部は日本野生生物リサーチセンター代表の里中遊歩(ゆうほ)さんによる『里山に生息する生き物たち』。県内で見られる両生類、爬虫類、野鳥を中心に、見やすい写真とイラスト、わかりやすい言葉で生き物の特徴や見分け方について紹介した。冒頭で「千葉県で見られない生き物は?」とのクイズを出した。正解はトノサマガエル。「え、そうなの?」と驚く参加者。「みんながトノサマガエルだと思っているのは、実はトウキョウダルマガエル。似ているけれど、背中がボコボコしているのがトノサマガエル、ブツブツしているのがトウキョウダルマガエル。よく見てみて」と里中さん。トノサマガエルは関東平野には生息していない。
 水田で鳴き声を聞くことの多いウシガエルは外来種。戦前に食用としてアメリカから輸入されたものの需要がなく野に放たれたものが繁殖した。ほかにもアメリカザリガニやミシシッピアカミミガメ(通称ミドリガメ)など多くの外来種が国内で生息している。「外来種の中には国内の生態系を乱すものもあり、害獣と呼ばれることがある。だが、外来種を海外から連れてきたのは人間。害があるからと駆除するだけでなく、原因を作った人的行為への反省が大切」と呼びかけた。 
 「生き物についての知識がたくさん得られて楽しい」と参加者。講義で生き物の観察ポイントを聞いたあとは、ゴミをあさるからと嫌われているハシブトカラスにさえも愛着がわく。人間だけが特別な生き物ではない。同じ土地に生きる他の生物とのつながりについて、改めて考えてみたいものだ。

関連記事

今週の地域情報紙シティライフ

今週のシティライフ掲載記事

  1.  冬の使者と呼ばれるハクチョウ。シベリアなどから北海道を経由し、冬鳥として日本へ広く渡って来る。近年、地球温暖化の影響で、繁殖期と越冬期が暖…
  2. 【写真】坂下忠弘  来春3月2日(日)、市原市市民会館・小ホールで開催される『いちはら春の祭典コンサート2025』。市原市…
  3. 【写真】千葉県立中央博物館・御巫さん  11月24日(日)まで、千葉県立中央博物館で開催されている『二口善雄 植物画展』。…
  4. 【写真】川口千里(左)、エリック・ミヤシロ  日本を代表するトランペット奏者、エリック・ミヤシロを迎え、いま最も注目を集め…
  5. 【写真】うたと語り「今、この町でこの歌を」  毎年、夏に開催される『市原平和フェスティバル』。平和への祈りとメッセージが込…
  6. ◆一席 風化するそれを待つ人させぬ人  千葉市 瓦井宗龍 ・順風に慣れすぎ詐欺に騙される  大網白里市 …
  7.  今回は「映画音楽」特集の第1回。良い映画では必ず、音楽・主題歌が感動を与えてくれます。テレビCMでも使われる名曲もあり、何処かで聞いたこと…
  8.  3つの窓が並ぶカウンターはケヤキの一枚板。絵本コーナーは小上がりになっていて、壁際の本棚の横には籐の椅子。マンガが並ぶ2階の屋根裏へは細長…
  9. 【写真】布施知子《二重折りのヘリックス》2018  市原市不入の市原湖畔美術館にて、企画展『かみがつくる宇宙―ミクロとマク…
  10. シティライフ編集室では、公式Instagramを開設しています。 千葉県内、市原、茂原、東金、長生、夷隅等、中房総エリアを中心に長年地域に…

ピックアップ記事

  1. 【写真】うたと語り「今、この町でこの歌を」  毎年、夏に開催される『市原平和フェスティバル』。平和への祈りとメッセージが込…

スタッフブログ

ページ上部へ戻る