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初めてとんぼ玉で千葉県伝統的工芸指定を受けた 森谷糸さんと森谷深冬さんの『蜻蛉玉と花ぐらす展』
- 2016/10/14
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大谷家具製作所にて 創業10周年記念『大谷友彬 新作家具展』同時開催
「硝子の中の小宇宙」とも称される、とんぼ玉。古代から世界各国で作られてきた。現代においても、その神秘的な魅力に惹かれるひとは多い。日本では、この10年ほどの間にガラスアートのジャンルとして活躍する作家が増えてきている。千葉市若葉区在住のとんぼ玉・ガラス絵付け作家、森谷糸さん(73)は、まだとんぼ玉が今ほどポピュラーでなかった約40年ほど前から制作を始めた。
群馬県出身で就職のため上京し大手電機会社に就職した森谷さん。「漠然と昔から好きだったガラスの仕事に就きたいと考えていました。そんなとき、偶然雑誌でガラス細工の第一人者、飯降喜三郎さんが、とんぼ玉を制作するのを日曜日だけ見られると知り、東京から工房のある大阪まで毎週夜行バスで10カ月ぐらい通いました。昔のガラス工場は男性の世界で女の私はなかなか中には入れてもらえなかったし、教えてもらうことはなかったけれど、試行錯誤の連続で技術を体得し、最後の方ではお手伝いもさせていただくようになりました。そして、この世界でやっていこうと決めたのです」と一念発起し退職。
その後、国立新美術館で開催している『三軌展』に入選。現在に至るまで都内や横浜のデパートやギャラリーを中心に全国で作品展を開催している。
森谷さんの作品の魅力のひとつに、日本の着物の柄や色合いを基調に、どこか懐かしい、ガラスとは思えない温かみのある質感が挙げられる。更に、ガラスパウダーによる技法を追求し、手本とするガラス史初期に作られたとんぼ玉、ファイアンスの美しさを彼女流に和のテイストで表現し、それが森谷作品の特徴とされている。
結婚を機に千葉市に移り住み30年経った。2002年、森谷さんの制作するとんぼ玉が千葉県の伝統的工芸に指定された。2012年に森谷さんに師事していた駒野幸子さんも県の伝統的工芸の指定を受ける。2014年には成田空港第2ターミナルビルにて、若い人や外国人観光客にもっと伝統的工芸品に興味を持ってもらおうと、森谷さんの作品が『伝統的工芸品が現代風にチャレンジ』というテーマで展示された。ディスプレイ用に制作したペット用のアクセサリーやバッグチャーム、髪留めは、これまでになく注目を集めたとか。
7年前から娘の深冬さん(33)がとんぼ玉の世界に入った。「母が体得した技術を覚えて伝えていきたい」と話す深冬さんを、森谷さんは「娘は空想の世界からアイディアを得るなど作品構築の許容範囲が広いので基本は教えますが、そのあとは本人が目指したい方向へ進んでほしい」と温かく見守る。
そして、このたび創業10周年を迎える長生郡長南町にある大谷家具製作所の2階展示ギャラリーにて、10月15日(土)から23日(日)まで(10~18時)同所のオーナーであり駿河指物家具職人である大谷友彬さんの新作家具展と、森谷さん母娘の作品展が同時開催される。
静岡市伝統工芸士(家具指物師)に師事し独立して10年目の節目に、新たな挑戦として『粋』というテーマでモダンな和家具スタイルを発表する大谷さん。静岡伝統産業工芸展で度々受賞も。森谷さんたちのガラス作品『蜻蛉玉と花ぐらす展』とのコラボ展示となる。また、18日と22日には、とんぼ玉作り体験を開催。体験は予約を
TEL 090・4833・0860
森谷さんは「私のもの作りのコンセプトは、主婦の方が気軽に普段づかいで楽しめるようなものを作ること。ちょっぴり高いものもあるかもしれないけれど、お小遣いをためて手に入れていただけるようにと考えています。今回の作品展では、和紙の質感をイメージしたランプや行灯などのガラス作品や、自然をテーマにした、野に咲く花を写したグラスなども展示します」とのこと。
芸術の秋。是非、大量生産品では味わえない匠の技が光る家具やインテリア小物と、中房総エリアでは滅多に見られない、とんぼ玉はじめ絵付けされたガラス作品の数々を鑑賞してみては。
問合せ 大谷家具製作所
(長生郡長南町長南1280─1 国道409号沿い JA長南支所向かい)
TEL 0475・47・3530