サーフタウン 山里吾郎

 8月は本当に天候不順だった。晴れマークはわずか4日、逆に20日近くが傘マーク。本来なら真夏の太陽が照りつけるはずの房総の海も、雨と寒さで閑古鳥が鳴いた▼「一宮の釣ケ崎海岸か。一度行ってみるか」|。東京五輪のサーフィン会場に決まってから気になっていた。一宮の海岸には何回か行っている。ただ「釣ケ崎」と、特定されると…。盆前の8月11日、「山の日」というのも皮肉だが、久しぶりに九十九里の海を目指した▼9時前、市原を出るころは曇り空。ただ黒く、厚い雲が空中を覆い長柄に差し掛かったころには早くも雨が落ちてきた。?不安的中“だったが、構わず一宮川を下り海岸通りへ。今度は?予想的中“か、雨まじりの海には大勢のサーファーの姿があった▼そのまま南下すると松林の一角に「サーフィン会場に決定」の横断幕。入り口近くまで並ぶ駐車の列をかき分けるように何とか車を滑り込ませ歩いて海岸へ。どうやらスポーツメーカー主催の大会らしく、子供たちも混じったウエットスーツや水着姿の男女で溢れていた▼悪天候のための待機か、海に入っているサーファーはまばらだったが、真っ黒に日焼けした顔はみんなエネルギッシュ。海水浴場とはまた違う独特の世界を醸し出していた▼通称・志田下と呼ばれる釣ケ崎海岸。サーファーの間では「聖地」と呼ばれ、ここが五輪会場になることは彼らにとっても特別な事だという▼町も本腰を入れている。好きな時に海に入りたいサーファーのために仕事を斡旋、年々増える移住者を呼び込んでいる。まさにサーフタウン。五輪成功と一過性ではない、レガシーが残せれば…と思った。

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