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季節のスケッチ
- 2018/2/16
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俳画と文 松下佳紀
以前この欄に、私の家の下の谷田に道が出来ると書いた。まだ未舗装だが、山を切り崩し、その土砂を田に埋め込んだ広い道路が姿を現し、風景が大きく変わった。平行している昔の道はいずれ廃れてしまうだろうが、少し離れた所に田の一部と小川と湿地が取り残され、そこに猫柳が春を告げているので心がほころんだ▼私は当地に住んで二十五年ほどになるが、その間にもうひとつ風景が大きく変化していたことに今更ながら気付いた。この付近の見晴らしの良い棚田がいつしか無くなっていたことを。田が耕されなくなり、草が生え、木が伸び、ほんの数年で棚田は元の野山に戻ってしまったのだ。これは人と自然に係わる対照的な現象である。