市原市の美しい自然をフェイスブックで発信

いちはら市民特派員 森 一郎 さん

 市原市在住の森一郎さん(68)は、現在『いちはら市民特派員』として活動している。10月上旬のある日、森さんはクオードの森で市原植物研究会主催の「きのこ観察会」を取材した。同観察会は毎年、千葉県立中央博物館の講師を招いて行われており、今回森さんは一緒に山に入りきのこ探しに同行。講師はきのこの分類をして食べられるか鑑定するだけでなく、分類のポイントや菌類の生態系に及ぼす役割などを教える。そんな観察会の間、森さんは写真撮影やメモをとる作業にいそしんだ。
 さて、『いちはら市民特派員』という名を耳にしたことはあるだろうか。市原市が今年の1月から、市内の魅力的な風景や自然、地域で活躍する人やイベントをタイムリーに発信するために指名した11人のことで、20代から60代の男女11人で成っている。森さんは、その中で最年長特派員として活動しており、取材した記事は市の公式フェイスブックページ等で掲載中だ。森さんは市民特派員に応募した理由を、「現役時代は出版社で子ども向けの月刊科学雑誌を編集していたので、毎月取材で全国を飛び回っていました。取材が楽しくて仕方がなかった経験を、今少しでも生かせるかなと思ったんです」と話す。

 富山県出身の森さんは大学卒業後、東京にある学習研究社(現在は学研ホールディングス)に入社した。配属された学年別月刊科学雑誌部門には17年ほど所属。小学1年から6年までの科学雑誌を月刊で発行するため、多忙を極めた。「今でいう裁量労働制ですか。夜中までの仕事は当たり前でしたが、苦痛ではなかったです。資料集めという理由で漫画雑誌もデスクで堂々と読めたし、取材で行っていない県はないと思います。歴史にも興味があったので雑誌の取材のついでに、その土地のお城に登ることもありました」と、楽しそうに振り返る。アクティブな生活は昔からのようだ。就職してから都内に住んでいたものの、平成元年に自然の豊富な土地柄が気に入り市原市に転居した。代わりに通勤時間は片道2時間半に増えたが、車内では読書や音楽、落語を聴いたりして長距離通勤さえ全く苦痛でなかったとか。
 「好奇心が旺盛だけれど、少々飽きっぽいところはあります。市原市に住んで30年が経ちました。小さい頃から自然に囲まれて育ったこともあり、市原市はとても住み心地がいいです。特に、いわゆる雑草と呼ばれる身近な植物が昔から好きですね。最近はコケにも注目しています」と、話す。
 飽きっぽいと自身を評するものの、植物に関しては一本気。「中学生の時に雪の間から青い綺麗な花が顔を出しているのに目を奪われて、図鑑で調べてみたらオオイヌノフグリだと名前を知りました。それが出発点かも」と続けた。草花や生き物を調べ、愛し続けてきた。「退職してからも植物図鑑の編集や校正をしたり、OB会の機関誌を作成したりと結構忙しいんです」という森さんの部屋には、顕微鏡やシャーレ、カメラが置かれていて、日常的に生き物観察している様子が窺える。

自然を学び伝える

 森さんは平成29年度に『千葉シニア自然大学基礎コース』、今年度は『千葉シニア自然大学専門コース』を受講。千葉県立中央博物館や海の博物館、里山保全団体や谷津干潟自然観察センターなど様々な場所に出向き、専門家の話を聞いて知識を深めているとか。そして、場所ごとに大好きな写真をたくさん撮影する。なにげなく生活をしていると、道路脇の植物や小さな生き物を見過ごしているかもしれない。だが少しだけ足を止めて、じっくり観察してみると、そこにはきっと大きな世界が見えることだろう。
 また、「コケを顕微鏡で観察していると、中に0.5ミリほどの緩歩動物のクマムシを見つけることがあります。乾燥しても死なない最強の生物といわれているんです。まるで小さなクマが歩いているような様子を見ていると、かわいくて時間の経つのを忘れてしまいます」と、自らの目で観察し学ぶことも忘れない。
 そして、『いちはら市民特派員』としては月1~2回のペースで市原市内を取材、市に報告している。「特派員の興味の対象も人によって様々です。私は里山団体のイベントを取材することが多いですね。植物の写真も撮れて、一石二鳥です。今後も、市原市の美しい自然やそれを守ろうと活躍している人たちを紹介していきたいです」と、最後に森さんは抱負を語った。

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