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飼い主のいない猫をなくしたい! 袖ケ浦公園で地域猫活動 NPO法人 袖猫パトロール隊【袖ヶ浦市】
- 2019/8/16
- 市原版, シティライフ掲載記事
- 内房
袖ケ浦公園には現在およそ80匹の『地域猫』がいる。どのような猫たちをこう呼ぶのか。千葉県が作成した『地域ねこ活動に関するガイドライン』によると、『地域の理解と協力を得て、地域住民の認知と合意が得られている、特定の飼い主のいないねこのこと。その地域にあった方法で、管理者を明確にし、対象となるねこを把握するとともに、餌やふん尿の管理、不妊去勢手術の徹底、周辺美化など地域のルールに基づいて適切に管理し、これ以上数を増やさず、一代限りの生を全うさせるねこを指す』と定義されている。
公園の利用時間が終了する午後5時以降、この地域猫たちを管理する袖猫パトロール隊の活動が始まる。発足から6月で丸5年。ガイドラインに基づき、公園内で繁殖させない、里親様にご縁を繋ぐ、心無い無責任な遺棄の根絶、公園内環境の美化の改善などの啓発を、現在16名のメンバーが交代で、毎日無休で行っている。代表の大島三郎さんは、猫好きなことに加え、通勤路で猫の事故死を続けて目撃したことをきっかけに避妊・去勢の必要性を感じ、役所に問い合わせた。「ボランティア団体を紹介されたので、早速入会しました。途中、様々な事情でメンバーが交代し、自分が代表を務めるようになり現在に至ります」
広報・雑務を兼任する小田島さん(50代)は、1匹の猫に視線を向けて話し始めた。「健康上の理由で休職し、ここにリハビリに来て出会ったのが、まだ小さな仔猫だったこの『コウメ』でした。10年近く前のことで、当時はレストハウスの周りは置き餌だらけ、ゴミも多い公園でした。代表の大島さんと知り合いだったこともあり、数年後、隊に参加しました。そうしたらコウメがまだ元気でいて…。地域猫の平均寿命は4年から5年といわれているのに、もうすぐ9歳です。いかに穏やかに全うさせてあげるか…と、よく考えています」。猫たちを、たとえ1日1回だけでも満腹にしてやりたい、空腹のまま逝く子を思うと、本当に切なくて悲しいと小田島さんは言う。「産まれたばかりの仔猫を、飼えないからと平気で殺めてしまう人の話も聞きます。それは犯罪です。やめてほしいです」と、切なる願いを全て確実に伝えようとしてか、感情を抑え淡々と語った。
遺棄しても助からない命
袖ケ浦公園には、来園者による自主的な見守りの協力もあり、昼夜問わず監視の目がある。ここなら何とかしてくれると思い、遺棄しにくる人もいるそうだが、現状はまったく違うと小田島さんは言う。「仔猫はすぐにカラスの餌食になります。猫にもテリトリーがあるので、新入りは追い払われます。居場所がなく公園を出て道を渡る時、事故にあってしまいます。ここに連れてきても助かりません。年老いた猫、病気の猫を置き去りにすることは、猫との思い出も捨てています」と飼い主の終生飼育を訴える。また、「病気の猫もいるから勝手な連れ去りは絶対やめて、必ず連絡して欲しいです」とのこと。
隊では、全ての猫に名前を付けて健康状態も把握している。避妊・去勢済みの目印は桜の花弁のような『さくらみみ』。手術の重複を避けること、来園者へのアピールを目的に、ごく一部の例外を除き、耳の先端を小さくカットしている。木更津市や相模原市にある動物病院の獣医の理解と協力が非常にありがたいそうだ。不妊手術は、どうぶつ基金の『さくらねこ無料不妊手術事業』のチケットを申請して行い、病気やけがの治療費は寄付で賄っているが、餌代はメンバー各自で負担し、年間で総額200万円を越える。隊では猫の問題を環境問題、人間社会の問題でもあると捉え、市への協力を陳情している。
大島さんは「避妊・去勢をしないで外へ出せば、当然、猫は増え続けます。餌をやるだけの可愛がり方は、不幸な猫を増やすだけ。他人に迷惑をかけてもいることに気づいてほしいです。私たちは公園で地域猫を管理していることをあえて公開しています。皆で見守りしていますよと発信することで、猫、ひいては子どもも安全に過ごせるのではと思っています」と話す。
「この活動を続けて良かったと思う瞬間は、やはり、里親さんと繋げられた時です。これで一生幸せに暮らせる…何よりですね」と、大島さんは笑顔を見せた。餌を決まった時間に与えることで、猫たちが周辺のゴミをあさったり、来園者の食べ物をねだったりすることもなくなった。他の地域へ活動を広げているメンバーもいるそうだ。隊ではメンバーや寄付金を募集中。詳細はHPにて確認を。
問合せ:大島さん