企画・防災特集 昨年の台風を命名 深刻化・長期化した災害

昨年9月、10月の台風は、市原にも大きな被害を出し、ニュースとして連日報道された。今月19日には、気象庁がこの2つの台風に対し、災害における経験や貴重な教訓を後世に伝承することを目的に名前をつけた。台風への命名は1977年の「沖永良部台風」以来42年ぶりという。
 この災害が深刻化・長期化したのには、被災への支援や復興、予防策を実行する前に、立て続けに三度も見舞われたことにある。被害内容も大きく違っており、市では、被害状況、支援策などを検証し、再び災害が起こった場合、どんな対応が必要なのか、さらに検討を重ねている。

◆台風15号「令和元年房総半島台風」
家屋の屋根などへの被害、倒木、市内全域で最大6万6000戸以上の長期化した停電、断水が被害の特徴。アパートやマンションの上水道から汲み上げるポンプが停電で止まるなど市内各所が断水し、復旧までに最大11日間を要した。市役所ではペットボトルの水を9/9夜から配布、最初の2日間で7万本がなくなったという。翌日から携帯の充電コーナーと給水は市内各域に広げた。
五井地区のゴルフ場鉄柱倒壊には、周辺住民が避難。早朝の消防からの一報を受け、バスをチャーターし国分寺公民館へ(若葉小中学校や五井公民館は低地にあるため危険があると使用しなかった)。罹災証明発行も県内で1番早く受付し始め、処理件数も現在県内で1番多い。建物の被災で、避難が長期化した人たちのために、市では独自に借り上げ住宅制度を行っており、1年の期限で補助している。
市役所では災害発生直後から、停電のため各地の情報が入らず状況把握が難しくなった。特に加茂地域は、急きょ職員90名が週末に広報いちはらの号外と援助物資を持ち、戸別訪問で聞き取りをした。停電が1番長期化したのは15日間かかった市津地区。高圧線が修復しても、低圧線や各家庭への引き込み線が損傷して通電しない「隠れ停電」も問題になり、より復旧に時間がかかったといえる。今後、市では各地域の状況把握や支援に、早く対応する方法を構築していくという。

◆台風19号「令和元年東日本台風」
雨量も風もあり、住居棟への被害が2800戸以上。特に被害が大きかったのは市津地区の竜巻で、横転した軽乗用車の男性1人が死亡。市津消防署も被災、車両など3台も損傷し、計89戸の住宅などが被害にあった。消防署職員と消防団員が朝から地域を歩き、救助や被害の確認などに当たり、後日膨大な量のがれきも撤去した。借り上げ住宅の補助も引き続き受付。
停電も断水も再び各地域で発生した。市内26施設の避難所に入った人数も最大2700名以上と、前回15号時の10倍にもなり、「これほど多数の避難所が一度に稼働した事態は初めて」と市の担当者。今後の対策に、避難所職員の増員態勢や物資の支給方法など検証中という。

◆10/25大雨
市原市の観測史上最大の雨量285ミリを記録。養老川の氾濫、道路の冠水、床上・床下浸水、土砂崩れに、高滝ダムの緊急放流予定と、災害対策本部では最も緊迫した事態に。すでに冠水や浸水していた養老川の中流域に、上流から大量の水が来てはどんな状況になるか分からない。結果的にダムの放流は見送りになり、さらに危険となる状況は避けられた。台風15号の倒木の処理も終わらない状況で、146カ所のがけ崩れ、道路では法面崩壊226件などが起き、河川被害も100件に。千葉市緑区では3名が亡くなり、市原でも住居の裏山が崩れ1名が亡くなった。
罹災証明も引き続き受付ている。いまだに屋根などの工事は順番待ちという人も多く、公共土木工事も同様で、市南部の山間部では、山あいの生活道路などで起きた土砂崩れがすべて復旧するにも、まだ時間がかかりそうだ。
(資料提供:市原市危機管理課)

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