いすみ鉄道 キハ28が運行終了~クラウドファンディング中~【大多喜町】

 千葉県で長く親しまれ続けている、いすみ鉄道。千葉県大多喜町といすみ市内を走行するローカル鉄道だ。全国に数多いる鉄道ファンたちを含め、春の房総には菜の花と共に走るいすみ鉄道車両を見ようと、多くの人が撮影に訪れる。そんないすみ鉄道の『キハ28』が、昨年11月に運行を終了した。同車は、1960年代に1800両以上が製造された国鉄キハ58系列・唯一最後の営業車両。約9年8カ月の間、通常の運行に加えて、レストラン車両としても活躍した。いすみ鉄道株式会社社長の古竹孝一さんは、「みなさんより惜しむ声を頂いています。いすみ市・大多喜町は今でも昭和の町並みが残っている地域です。そこにコトコトといすみ鉄道が走る、そんな風景に懐かしさを感じて、多くの人が訪れてくれるのだと思います。ただ、運行のためには車両維持に多額の資金が必要な上、エンジンや冷房機材の部品確保が困難を極めたため、苦渋の決断に至りました」と、語った。

 古竹さんが社長に就任したのは4年前。ここまでの間、多くの困難に直面した。世界を未だに混乱させるコロナウィルスだけでなく、台風や豪雨被害で、いすみ鉄道は立て続けにダメージを受けた。「続けていれば、困難はいつでも起こり得る。だから、諦めてはいけない。確かに、車両は引退させることになりました。でも、歴史を残していく必要がある。そこで今回、クラウドファンディングを募集することになりました」と、古竹さん。同プロジェクトは今月15日(日)までクラウドファンディングサービス『うぶごえ』で募集しており、目標金額は280万円。取材時の昨年末には、100万円強まで到達している。達成できた場合、寄付金は車両保存と3Dデータ化に使用される。「車両は、国吉駅に保存したいと考えています。そして、3Dデータとしてメタバース空間上で蘇らせる予定です。リモートが定着してきた現在、通常の交通網が必然ではなくなっています。今回支援にご協力いただくだけでなく、当社としても全力で対策を練らなくてはならないのです」と神妙に語る古竹さんは、「今回のプロジェクトを元に、アナログとデジタルの融合を考えて、さらにいすみ鉄道沿線地域のプロモーション効果を検討していきたい」と続けた。

 返礼品の内容も色鮮やかだ。オリジナルの一日フリー乗車券のほか、キハ28グッズ詰め合わせやナイト撮影会参加券、運転席の360度パノラマ写真などが入手可能。「いすみ市・大多喜町は、羽田や成田、首都圏にも近くて恵まれている環境です。そして、地域の方々もとても人間味溢れています。こんな素敵な町の風景を、そして人々に愛された鉄道を、どうにか残していかなくては。それをみなさんに小さなアタックとして提言できればと思います」と、古竹さんは愛情いっぱいに語った。千葉の大切な1ページを次世代に引き継ぐ使命が、私たちにはあるのかもしれない。

 

問合せ:いすみ鉄道株式会社
Tel.0470・82・2161
・クラウドファンディングうぶごえ募集サイト
https://ubgoe.com/projects/277

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