編・織・縫のコラボレーション

編・織・縫のコラボレーション
テキスタイルニット作家 織田 春美さん

編・織・縫の自由なコラボが作り出す織田春美さん(64)のテキスタイルニットの世界。ひとつとして同じ作品はない。「同じものは二度と作りたくないのよ。人と違うもの、自分の好きなものだけを作りたいの」茂原市在住の織田さんは明るく笑いながら話す。
スタートは23歳の時に始めたシンプルな編み物。当時からとにかく編むことが大好きだったそう。その後、作品に変化をつけたいと思い織物を習い始め、ご主人のお母様から譲り受けた着物を活用しようと、ひも状に裂いて作る裂き編みと裂き織りを習得。そして、近年新たに挑戦しているものはフリーレースとニードルパンチ。
フリーレースとはリボンや糸を自由に贅沢に織り込んだレース作品。取り入れると衣装や帽子が豪華に見える。作り方は、水に溶ける特殊なシートに毛糸やリボン、糸を載せて方眼状にミシンをかける。その後、シートを水で溶かして形を整えるという手法。織田さんのお気に入りの作品は、娘さんの結婚式のときに作ったウェディングドレスの上に羽織るもの。キビソ(繭を作るために、蚕が一番最初に吐く糸)を使っている。
ニードルパンチは土台(ワンピースやコート)に好きな形や模様の布(綿が入ったもの)や毛糸(原毛が使いやすい)を載せ、7本の針を持ったニードルパンチ用のミシンで、布の周りを叩いてくっつけていくというもの。土台の裏側に布の繊維が出てくる。縫うのではなく埋め込むような感じ。写真は黒のロングジャケットにニードルパンチで模様をつけたもの。これも織田さんの大好きな作品のひとつ。織田さんのひとつひとつの作品の中には、これらの手法が様々な組み合わせで巧みに織り込まれている。
2年ごとに開催されている『ユザワヤ創作大賞展』では毎回入賞。2001年には、裂き織りと裂き編みを絶妙にコラボさせた紫系のワンピースで栄えある『部門大賞』を受賞。常に新しいこと、やりたいことを見つけ、チャレンジし続けている織田さん。2年ごとに作品展を開くために、1カ月に1つを目安に作品を作っているそう。作品展では展示品の販売もしている。
「みんなが私の作品を待ってくれている。周りの人々の力に支えられてここまで来ました。家族と仲間に感謝です。大好きな編み物を長い間させてくれてありがとう。これからも日々、作品作りに取り組んでいきます」と織田さん。

関連記事

今週の地域情報紙シティライフ


今週のシティライフ掲載記事

  1. 【写真】はにわ博物館展示室の姫塚埴輪        昨年8月、千葉県殿塚古墳・姫塚古墳出土埴輪(総数48点うち殿塚古墳30点、…
  2. 【写真】第1回ドリームコンサートにて。2部では会場とステージが一体に &…
  3. ◆一席 百歳を祝う米寿に喜寿ひ孫 白子町 佐川浩昭 ・敬老会市長の祝辞聞きとれず 大網白里市 渡辺光恵 &…
  4.  明けましておめでとうございます。2005年5月に「こでまりの夢」のコラムが始まって今年で20年になります。今回は第1回で掲載しました『か…
  5.  正月飾りの縁起物に赤い実のカラタチバナがある。これを探して冬の里山を散策した。数は少ないが一株見つかると近くに数株見つかった。11月頃か…
  6. 【写真】西本さん。大谷家具ギャラリー工芸館にて、展示作品と      大分県別府市在住の竹細工職人・西本有(たもつ)さんは、市…
  7.  富山県富山市。標高3000メートル級の北アルプス立山連峰や水深1000メートルの富山湾に囲まれ、人口約40万人の北陸地方を代表する主要都…
  8.  市原市在住・岸本(下尾)静江さんが上梓した『家康 最後の日々』。これまでエッセイや訳書等を多数著してきた岸本さんが、ライフワーク的に取り…
  9. シティライフ編集室では、公式Instagramを開設しています。 千葉県内、市原、茂原、東金、長生、夷隅等、中房総エリアを中心に長年地域に…

ピックアップ記事

  1. 【写真】第1回ドリームコンサートにて。2部では会場とステージが一体に &…

スタッフブログ

ページ上部へ戻る