毎日の暮らしが楽しくなる器を
- 2013/3/28
- 外房版
毎日の暮らしが楽しくなる器を
暮らしの中で大きなイベントや変化がなくても、普段使っているカップやお皿などを変えてみると心が弾んだことあるのでは。そんな日常生活に彩りを与えてくれる器を作っているのが、いすみ市大原在住の陶芸家、森井美津子さん(56)。
15年ほど前にご主人と所沢市から移住してきた。所沢市のカルチャースクールで陶芸を学び、大原に来てからも数年地元の陶芸教室に通い、窯を買った10年前から本格的に取り組むようになった。とはいえ、「自分の作りたいものを作っているだけ。作りたいから制作費に充てるため販売している」と、気負いがない。
横浜市出身の森井さん、「子どもの頃は漫画家になりたいと思っていた」が、編集関係の仕事に就き、同業のご主人との結婚で会社を興した。でも、その後「私はアナログ派でDTPの時代になり引退状態」とか。自宅に増築した工房で、ろくろを回し、窯と向き合う毎日だ。
「私は化粧掛けという手法をベースにして、そのバリエーションで作品をつくっています。色のつけ方や釉薬で変化をつける。私はデザイン化するのが好き。陶芸で何々焼きというと、その土地で作らなければ本物じゃない。それは私にはできないし、この狭い工房での制作でもある。逆に割り切って、ここでできることを、これしかできないというのが自分の作品の個性だと考えています」と森井さん。
明るい色合いのものが多い作品について、「若い人に人気」、「女性受けするデザイン」との評判には、「制作する時に、格別そうしたことを意識したことはありません。日々使うものが多いし、色々なモチーフがあるから、男女年齢問わず、気軽に使い分けて毎日の生活を愉しんでほしい」と話す。
ふんわりした感じのカップもあれば、スタイリッシュなお皿もある。洋風、北欧風なものも。
「ハードロックを聴きながら、ろくろを回すのが人生で一番楽しい時間。目標は何か賞を獲ること。様々な手法がある陶芸の世界。同じことはしたくないし、留まりたくない。その時々にマイブームがくるから、どんどん新しいことにチャレンジして、自分にピッタリの制作方法を見出したい」いきいきと語る森井さん。作品の常設展示と販売は、大原の『外房長屋』、いすみ市御宿の『カッテンマ』、千葉市緑区の『はっぴぃ・べっせる』、山武郡九十九里町の『あるく』で。
6月13日から16日まで、大網白里市のギャラリー古屋敷で『緑と暮らす・3人展』を開催予定。「ここは人が少なく街の喧噪が懐かしくなる時もあるけれど、静かでのんびりしていていい。誰ひとり知っている人はいない土地でしたが、陶芸を通じて知り合いが増えた」と微笑む。趣味はテレビでサッカー観戦。愛猫4匹を紹介しながら、「イングランドプレミアリーグとヨーロッパチャンピオンズリーグを夫と欠かさず観ています。それと、茶道を習っていますが、着物を着るのが楽しいのと、練習用の茶碗をつくりたいので茶道を知りたいと思って」照れくさそうに打ち明けてくれた。