夢を追い求めて混じり合った色は人生のよう
- 2013/5/31
- 外房版
夢を追い求めて混じり合った色は人生のよう
チョークアーティスト 熊倉可奈さん
長生郡一宮町にある房総アトリエ『KUMAKUJIRA Chalk Art Service』で作品の構想を練るのはKUMAKUJIRAこと熊倉可奈さん、30歳だ。チョークアートとは、黒いボードにオイルパステルという専用チョークで描く絵の表現方法の1つ。指のみで描き色を重ね合わせ、色彩豊かなグラデーションを創り上げる。体温が当たることによって解け合う色があたたかみを感じさせるという、ハンドメイドアートだ。「クレヨンの材質と似ていて、お子様から大人の方まで年齢を問わず楽しめます。日本に入ってきてまだ10年くらいの若いアート技術。発祥の由来は様々。一説ではイギリスのパブのメニュー看板などに用いられたのが始まりで、当時は色合いも異なり淡い色味が特徴的なアートだった」と話す熊倉さん。
絶やさない笑顔と声の印象が、熊倉さんの絵にもはっきりとした明るい色として映し出されている。「家系的にも芸術に縁があり、祖父は銀製品を作る美術工芸士の銀職人でした。幼い頃から工房に親しみ、絵を描くのが大好きで、大学ではコンピューターグラフィックを専攻し学びました。会社員時代は営業をこなしていたものの、根本的な葛藤として常に表現の世界で生きてみたいという思いがあり、スクールに入門したのは26歳の時。これだと感じた」と続け、部屋に飾られた作品を眺める。本を読むことよりも、試行錯誤しながら独学で身についた技術も多かった。何でもやりたいと決めると止まらない性格で、自分の表現を追求し思い切って独立。
自宅を事務所に開業する熊倉さんの描く世界のファンは口コミで確実に増えている。現在の活動内容は、主にチョークアート看板の制作・販売、デザイン制作と教室の運営など。「工夫していることは2つ。まず、描き直しがきかないので全て一発勝負。細かい線まで見落としがないように注意を払い、私は基本の組み合わせの色よりも複数の色を扱うので、一番綺麗に発色するように心がけています。一色ずつに特徴があって、とても深く、まだまだ追求が必要です。そして、それぞれの御依頼主様の想いを大切にすることです」と笑顔を見せる。
依頼される看板の内容も様々だ。店舗看板から、結婚式や誕生日などの記念日に、生活空間の中に飾りたいなどなど。作品を創り上げる時間は依頼者との打ち合わせを重ねて、予約状況と依頼内容にもよるが約1カ月前後。一方、ライブペインティングなど即興で描く際には、限られた数時間内で作品を完成させなければならないので8時間というスピードで完成したことがあるほど絵に込める想いは強い。壁に貼られたそんな1枚の絵を見上げながら、「個展用の作品として自由に描いた作品には、これまで動物と南国のお花があります。これらの作品は、KUMA
KUJIRAから見た彼らや彼女たちの姿を現しています。その姿は、十人十色であり、日々の出来事や経験や時間がいくつも重なり、混じり合い変化を重ねて今があるのだと思います。作品を通してそんなKUMAKUJIRAの世界観を覗いて頂けたら嬉しいです」と話す。
イベントで開かれるワークショップではこれまで400人以上の体験者がチョークアートに触れた。色の重ね具合で雰囲気は異なり、個性がありありと表れるので愉しいという。チョークで絵が完成したあとは消えないように加工を施すので、雨に濡れても大丈夫、部屋以外に飾っても可愛いだろう。熊倉さんは、「今後も、感謝の気持ちを忘れず制作や教室運営を続けていきたいです。そして、皆さんの役に立てるお手伝いをしたい。また、私自身が医療現場で勤務していた時期もあるので病院や施設での体験を実現させられたら。色んな可能性に挑戦していきたいです」と続けた。
6月2日パタゴニアサーフ千葉でワークショップが開かれる。自分だけの色を見つけてみてはいかが。
問合せ KUMAKUIJRA Chalk Art Service
TEL 090・4430・1502