みんなの気合で審査員特別賞受賞

創作ダンスで全国大会出場
みんなの気合で審査員特別賞受賞
茂原北陵高等学校ダンス部

 ステージでは軽快なヒップホップ系のダンスが続く中登場した茂原北陵高校ダンス部。流れてきたのはミディアムテンポの曲にのせ女性ボーカルが生きる意味を問うように歌う『人間失格~生きる事は素晴らしいのです』のメロディー。一瞬場違いな光景に会場がざわつく。と、ステージでは「自分の中の闇を解き放つ」をテーマに創作されたダンスがスタート。目隠しをして踊る姿に観客も息をのみ、次第に目はステージに釘づけに。
 今年8月、横浜市のパシフィコ横浜で開催された『第6回日本高校ダンス部選手権(フィッツダンススタジアム)』全国決勝大会。「人間には陰と陽の両面があるということをダンスで表現しました。目隠しをしたのは、目は人の心を表してしまう、だから目を隠したほうが効果的と考えたからです」と3年生で部長の田村菜鶴子さん。「他の高校がみんなヒップホップ系のダンスで出場するのは分かっていました。だからあえてメッセージ性の強い創作ダンスで挑戦しました」と話すのはダンス部顧問で体育教諭の鈴木歩さんだ。その狙いは見事的中。北陵高校は初出場ながらスモールクラス(2~9人)で審査員特別賞を受賞した。
 女子ばかり18名というダンス部。8年前に鈴木教諭が赴任。彼女自身、幼いころからバレエに親しみ、ダンスを教えたくて教師の道を選んだという熱血顧問だ。昨年には『全国高等学校ダンスドリル選手権大会』でリリカル部門全国2位を獲得。しかし部員は入部時、ほぼみんなダンス初心者だという。今回全国大会に出場した3年生3人のうち2人と2年生3人もダンスは初めてだったというからビックリ。唯一のダンス経験者は部長の田村さんのみ。「入学前6~7年ヒップホップダンスを習っていました。ダンスができる高校を探していて、見学会の印象がよかったので北陵高校へ入学しました。今回は百点満点の出来でした。他に負けないというみんなの気合でつかんだ賞です」とみんなの努力を讃えた。
 授業が終わると毎日、18時まで練習がある。今回のように大会前は休日も返上。今年の夏休みは5日しかなかったそう。練習場は学校の食堂。テーブルをすべて外へ出し手作りの鏡を広げ練習が始まる。「ここではクラシックバレエからジャズダンス、ヒップホップまですべてやっています。その中で、その後自分の気に入ったものを極めてくれればと思っています」と話す鈴木教諭の方針でオールジャンルで練習している。そしてダンスの振り付けはもちろん、衣装もデザインから染め、縫製まですべて部員が行っている。
 そんな部活生活に、今回大会に出場した3年生の志田真吏佳さんは、「私は興味本位と自分を変えたくて入部しました。1年のときは体力がなさすぎて大変でした(笑)。でも舞台に立つと本当に気持ち良くて楽しくて、周りからもたくましくなったって言われ、大切な場所になりました」と話してくれた。同じく3年の内田夏美さんも「人に強く言うことができない性格だったのが、ちゃんと自分の意見を言えるようになりました。団体競技は自分勝手にできないし、人の気持ちを考えないといけない。みんなでひとつのものを作り上げるのが楽しかったです。いろいろな経験ができてよかったです」と3年間の部活動を振り返ってくれた。
 11月に行われる大会では、全員でヒップホップダンスを踊る。そこを通過すれば来年1月の全国大会出場が決まる。3年生にとっては最後の大会に向け、今練習の真っただ中だ。ダンス部はこれまで大会以外でも、茂原市の洋舞フェスティバルや七夕まつりでダンスを披露してきた。11月23日(土)、30日(土)には学校見学会が行われダンス体験もできる。

問合せ 茂原北陵高等学校
TEL 0475・34・3211

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