15分で得した気分!?朗読会で色んな本に触れて

 11月16日(日)、山武市にある成東文化会館のぎくプラザで朗読グループ『オリーブ』が年2回恒例となっている発表会を行った。2時間半のプログラムの中、第1部に3話・第2部に4話が朗読され、集った約100人の聴衆が耳を傾けた。
 北村薫著の『白い朝』や向田邦子著の『職員室』、小泉八雲著の『耳なし芳一の話』や伊集院静著の『乳房』など様々なジャンルが盛り込まれた朗読会では、1話15分聴くだけでまるで1冊の本を読んだかのような読後感を得ることができた。代表の古内恵美子さんは、「現代小説や時代小説、文学小説など色んなジャンルを織り込むことは意識していますが、基本的には朗読する本人が選択しています」と話す。
 抑揚のついた台詞、情景が浮かぶ語り口調に聴衆は引きこまれていく。最後のオチが明かされた瞬間、ため息に似た声と拍手が部屋を包み込む場面も。「滑舌もよくて、聴き心地が良かったです。また聴きに来ます」と訪れた人が感想を述べた。
 『オリーブ』が結成されたのは2004年、メンバーは8人で活動している。当時の旧山武町では朗読グループがなかったため、社会福祉協議会からの要請を受けて古内さんが立ち上げた。現在は、山武市内の幼稚園や小学校で毎週読み聞かせを行っている他、福祉老人ホームにもボランティアで訪れている。
 「子どもたちがお話の日を楽しみにしてくれていたり、『おはよう』と元気よく声をかけてくれるのが嬉しいです。以前老人ホームの方に、朗読CDはあるけれどやはり人の生の声には叶わないと言われたことも心に残っています。老若男女笑顔になってくれます」と古内さん。メンバーは、「シーンによって感情が出てしまうし、アクセントに気をつけなくてはいけないので大変」と話すが、古内さんは「アナウンサーではないので、自分の想いを伝えるほうが大事」と柔らかくほほ笑んだ。
 各々が好きな本を選び、熟読し、台詞を拾いながら台本を自作する。頭で読んでいると楽しいのに、声を出してみると違和感を覚えて変更することもある。練習を繰り返し、古内さんに聴いてもらい作品を作り上げる。時間をかけて作られた台本は、多くの人を色んな世界に誘ってくれる。
 幼稚園ではメンバーが分担して大型紙芝居を行うこともある。古内さんは、「最近は若い方も時間がなくて本が読めないとよく言います。題名を知っていても内容が分からないという物も多いのではないでしょうか。朗読会をきっかけに、聴いた話を本で読んでみたいなと思ってくれたら」と願っている。活動の多くは山武市内で行っているが、相談次第で出張は可能。大人向けの朗読会は少ないので、ぜひオススメ。次回は来年の5月31日(日)開催を予定している。

問合せ 古内さん
TEL 080・3411・4479

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