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サックスを手に、防犯・安全を呼び掛けるマドンナ
- 2016/4/28
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茂原警察署広報担当官 豊永小百合さん
千葉市在住の豊永小百合さん(30)は茂原警察署地域課に勤務する警察官。日々、移動交番で各地域を回りながら住民の相談にのる。そして、茂原警察署安全安心推進広報担当官として、防犯・交通安全講話の合間にサックスを演奏する一面を持っている。「茂原警察署に配属されたのが昨年の秋です。移動交番では、各警察署によって交番・警察官により親しみを持ってもらおうと独自の戦略をとっています」と、豊永さんは説明する。楽器の吹ける警察官は少なく、サックスを演奏する豊永さんに白羽の矢が立った。2月中旬茂原市内のショッピングモールで行われたイベントでは、サックスの音に合わせて歌う子ども達の大合唱に、訪れた人が足を止めるほどのインパクト効果を持っているのは明らかだった。
中学、高校と吹奏楽部に所属しクラリネットを担当。卒業後の進路に警察官を選んだのは、吹奏楽部時代に警察音楽隊と一緒に演奏した経験も影響した。「まさか自分がその音楽隊に異動するとは、当初は全く考えていませんでしたけどね」、と話す豊永さんは警察学校を出た後すぐに野田警察署へ配属された。「次に行ったのが千葉県警察本部の広報県民課音楽隊でした。サックスのポジションを担当することになりましたが、未経験だったので初めは大変でした」。音楽隊は約30名。そのうち約20名は音楽大学出身者で、周囲のレベルに合わせるまでプレッシャーを感じたことも少なからずあった。だが、そんな経験が彼女の今を作り上げたといっても過言ではない。「交通安全や電話de詐欺の防犯の講和だけでは、全部の内容に集中してもらうのは大変です。一つ話して一曲吹く。それを繰り返すことでメリハリも生まれて、印象に残りやすいんです」と自信をうかがわせる。
茂原警察署は長生郡や茂原市を含めた7市町村を管轄としているので、地域の公民館や学校へ講話に回ると1カ月のスケジュールが簡単に埋まる。そんな中での悩みが、「練習する場所」だとか。音楽隊の時と違い、ソロで演奏するとあって初めは緊張もひとしお。しかし、柔道場は音が響いてしまうし、自宅に防音措置はないため大きな音は出せない。家庭では3人の男の子のママでもある豊永さん。苦笑いしながら、「4歳と2歳の双子がいるんです。子ども達を夫に任せて、夜に一人でカラオケボックスに行ったり、車内で吹いたりしています。昼間の練習は移動交番の中が多いですね」と教えてくれた。
サックスを始めてから9年が経った。途中産休だった期間もあるが、現在演奏可能なレパートリーは20曲ほど。「今は譜面がないと吹けないですが、年齢に合わせて曲を変えるようにしています。多いのは『花は咲く』や『川の流れのように』、『見上げてごらん夜の星を』などですね」といい、「子ども向けの講話では、ディズニーやジブリを吹いて楽しんだ方が記憶に残るんですよ」と分析。しかし、講話は年配の方向けが多いことから、今後は演歌にも力を入れていきたいとか。同警察署の築野優子(つくのゆうこ)さんは、豊永さんを「とっても努力家!」と熱く評価。そして、「近年、女性の警察官を増やそうとされる中、色々な方と接触する彼女はすごく意義のあることをしています。いつもニコニコとしていて、仕事を一生懸命してくれます。移動交番やイベントの際には、現場のショッピングセンターの方々などとも交渉が必要ですが、きちんと対話をしてやり遂げられる。本当に頼りがいがあり警察官向きですね」と続けた。「一番嬉しかったのは、訪れた小学校で演奏に合わせて子どもたちが大合唱してくれたことです。あと、イメージが先行して警察官を怖がる人や子どもは多いのですが、楽器を持っているだけで和らいだ顔で話してくれるんです」と嬉しそうに話す豊永さんだが、なにより望むのは『事故や詐欺被害の件数が減ること』。昨年は茂原警察署管内だけで23件、4千5百万の電話de詐欺被害が発生している。県内での事故発生率も高い。「夕方から朝方の事故が多いんです。反射材を身につけるか、なるべく目立つ格好をして夜は歩いてください」と呼びかけることも忘れなかった。
問合せ 茂原警察署
TEL 0475-22-0110