よそ者を温かく迎えてくれる里山に新しい風を!

「楽農ランド」

「里山を荒れはてたままにしていたら過疎が進むだけ。行政の手が回らないのなら、個人やグループが動き、少しでも波紋を広げなくては。よそ者ならではの新たな視点による町おこしで、子どもたちが魅力を感じる地にしていきたいと思っています」
 そう語るのは、オーストラリアで25年間、10万坪の果樹園を経営していた堀部洋保さん(75)。一昨年初頭、映像制作会社に果樹園を売却し帰国。東京の自宅で悠々自適に生活していたが、自然と生きがいを求めてその年11月、長柄町に移住してきた。
 長らく放置されていた古民家の建つ4500坪を借り受け、自ら竹やぶを切り開いて整備。高低差のある敷地内は、畑の他、竹林、竹林中腹のトンネル(防空壕跡をぶち抜いたもの)、オーストラリアで使用していたキャンピングカーのエリア等が古民家を囲むレイアウトになっており、古民家は宿泊施設(個人間の宿泊施設賃貸を仲介するネットサービス「エア・ビーアンドビー」、ホストファミリーに登録)として活用される。
 そして、『楽農ランド』と命名したここをベースキャンプとし、これから様々な取り組みを行っていく構えだ。「サイクリストは1日90~120㎞走るそうですが、彼らの休憩スポットとしてキャンピングカーで焼きたてマフィンとコーヒーを無料サービスします。そうすれば口コミでこの町に徐々にサイクリストが集まってくるでしょう。また、竹林ではドローンを飛ばすこともできます。実際、専門施設の使用料が高いため、東京大学のドローン研究会もこの竹林を使用しています(無料)。先日、東京から訪れた家族は、帰りに里芋を大喜びで掘って持ち帰りました。こうして多角的な人の交流を進めていきたいですね」
 ちなみに、宿泊施設の受入れは4月中旬から正式スタート。『楽農ランド』の施設名通り、手ぶらで来てガーデニングを楽しみ、自分で収穫した材料でバーベキュー。訪れた人が自分の家の延長として好きなように過ごし、無農薬の野菜や思い出を持ち帰る、という趣向だ。外国人が好む畳の部屋、ベッドの部屋に加え、キャンピングカーも客室として利用可能で、料金は実費程度。
 堀部さんの趣旨に賛同して、地元の有識者はじめ、都内のコンサルタント、コーディネーターなど仲間も増え、地域活性化に向けての知恵を出し合うようになった。「地元の人たちが当たり前に捉えているものでも、外から来た者の目から見ると、大きな魅力を感じるものが色々あります。例えば、町の特産物に目をやれば、『キクイモ』は天然のインシュリンと言われ、美肌、花粉症、ダイエットに効果がある。これを製品化してメジャーにできないか等アイデアがわいてくるわけです。みんなで情報交流しながら、自分たちが社会にできることを考えていきたいと思っています」。
 楽農ランド整備をする中、8か月で健康的に5.5キロの減量を果たしたという堀部さんは、膨張する日本の国民医療費(平成25年に初めて40兆円を超えた)の削減のためにも、心身の健康を作り得る田舎暮らしの利点をあげる。「都内で疲れたら休みに来てほしい」。
 「世界農業ドリームプラン」の「プレゼンテーション2016」(本気で農業の夢を語る場)において準グランプリを受賞(プラン名『夢工房・楽農ランド』)。「私のようなよそ者の話に地元の人は耳を傾け、温かく迎え入れてくれました。ここに新しい風を起こし、いつかオーストラリアのハンターバレーのように町中が観光スポットになれば」と堀部さんは大きな夢を語った。       

問合せ 楽農ランド
TEL 080・5865・5180

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