震災を悲しむだけではなく、未来への防災対策に取り組む

 3月3日(日)、長生郡長生村で開催された『ぐるっと長生(ながいき)フェスタ2018』。長生村は九十九里浜に面していて、年間を通して温暖な気候な上に、山や丘陵のない土地柄が特徴である。現在、千葉県内では唯一の『村』で、人口は約1万5千人。平坦で高齢者にも住みやすい土地で、健康に長生きを目指している。
 そんな長生村で行われた同イベントでは、『あの震災を忘れない 防災に力を入れる長生村をウォッチング』と題して、約11㎞のコースを5時間かけてノルディックウオーキングをしながら、村内に点在する防災施設を回った。
 参加者130名の中には、村内だけでなく茂原市やいすみ市など近隣地域からの参加も多数見受けられ、快晴の下、みんなが存分に美味しい空気を吸いこんだ一日となった。
 ノルディックウオーキングは、クロスカントリースキー競技で夏場の雪のない時に行われたのが発祥とされていて、2本のポールを使うことで全身の筋肉をしっかりと動かすことができる。また両手と両足の4点で自分の体を支え、膝など関節への負担を減らす効果もある。
 長生村役場を出発した一行は、住宅街を抜け、賀茂神社を経由して一松海岸へ。各チームにインストラクターが同行するとあって、「歩いていると、右の関節だけ痛くなるのはどうしてですか?」、「ポールはどう握るのがいいんですか?」など質問が飛び交った。
 海岸で海を眺め、庭先の梅に顔をほころばせ、出会った人と少し立ち話。そして、海岸のほど近くにある高さ5mの『長生観音』に、参加者たちは静かに手を合わせた。村の悠久の平和と村民の家内安全、海難無事故を願って平成元年に建立された観音様。「海に時々遊びに来るのに、全然知らなかった。今度は散歩がてらお参りしてみようかな」と、新しい発見もあった。

防災施設を見学

 昼食は一松北部コミュニティセンターで。「コミュニティセンターの屋上は海抜11mの高さで災害時には340人を収容できます。屋上の柵についている銀色の輪はロープをつけるためのものです。たとえ津波に襲われて人が流されても、ロープを投げて助けられるように設置しました。また、村民の年齢や介護が必要な方も統計をとっていて、いざという時に役場が迅速に動けるようにしています」と話すのは、村長の小髙陽一さん。
 東日本大震災の時、長生村にも海岸から数百mの位置まで津波が押し寄せた。もし、同じような地震が夏場に発生したらどうだろう。地元の人々だけなく、海水浴客や他の観光客も巻き込まれる想定が必要だ。「いつ起こるか分からない津波。それは一気に来ます。想定される人数を収容できる施設を、震災後に一気に造りました」と小髙さんが続けると、「人の命は大事ですね。行動を起こすのがとても早くて驚きます」と参加者の声。
 同時に建設されたのが、次の目的地である『城之内築山公園』。同じく海抜10mを超える小高い丘の公園は、優秀な防災施設を完備している。倉庫には食料が備蓄されていて、ベンチはかまどに変化し炊き出しが可能。290人が収容可能な公園は4本の支柱が建てられていて、ビニールシートで囲いを作れる。雨風や寒さを凌ぎ、2日は避難していられるという。「近くに住んでいても、建物の本当の構造や意味を知りませんでした。私達は守られて日々暮らしているんですね」と驚きの声も。
 11㎞の行程で長生村ののんびりと穏やかな風景を垣間見られる瞬間が何度もあった。休憩で提供された、一口つくねや豪華なお弁当に豚汁、青リンゴゼリーなどでお腹をたっぷりと満たしながら、最後に到着したのは『長生郡市広域消防長生分署』。ここは昨年12月、人命救助の迅速化を図るためドクターヘリの緊急離着陸場としてヘリポートが完成したばかり。
 長生分署の隣接地は広く綺麗に整備され、万全を期していた。海があるから遠くに住むのではなく、どう災害から身を守るかに重点を置くことが、自然と共に生きることだと痛感させられる。「コースがとてもよかったです」の声、続々。日常からしっかりと歩いているため、ちっとも疲れた顔を見せない参加者たちは、出発した時の同じように元気に帰路に就いた。

問合せ 長生村役場産業課
TEL 0475・32・2114

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