ふるさとビジター館 いちはら自然探訪 ムラサキケマン

 里山では紅紫色の花が咲き始める頃である。高さ20~50センチのケシ科キケマン属でムラサキケマン(紫華鬘)。「華鬘」とは仏前にいつも花が飾ってあるよう、花を模した仏具のこと。
 ムラサキケマンの花は、長さ2センチ弱で淡~濃紅紫色の筒状花が総状につく。左右相称でうしろに突き出た距があるのはキケマン属の特徴。葉は2、3回複葉、細かく裂けた羽状。花茎先端の花が開くころ、下の花はもう蒴果をつけている。
 春に種から芽生えた苗は花が咲かないまま、夏を過ぎると地上部だけ枯れる。
秋にまた芽生え、葉を地面に平らに広げて冬を越す。翌春になると花茎を伸ばし結実して枯れるという2年草。木陰や湿り気のある所ではワンサカ生えるありふれた野草の一つ。
 あまりにも見慣れてスルーするも、名前を知る人は少ない。まして、全草が有毒ということを知る人はもっと少ない。生育場所や葉の形が非常によく似た山菜があり注意が必要。花が咲けば容易に区別できるものの、食用にする頃の若葉では非常に難しい。ケシ科の野草は有毒が多く、薬用に使われるものもあるがムラサキケマンに薬効はない。
 有毒植物という危険が身近にあるのも、自然が豊かであればこそ。いつまでも大切に残していきたい。
(ナチュラリストネット/野坂伸一郎)

ナチュラリストネット/自然を愛する仲間の集まりです。市原の豊かな自然環境をいつまでも永く残したいと活動しています。 Tel.080・5183・9684(野坂)

関連記事

今週の地域情報紙シティライフ

今週のシティライフ掲載記事

  1. 【写真】第1展示室  人々の暮らしを様々な面で支えている人工衛星。ロケットで打ち上げられた人工衛星は地球の周回軌道に投入さ…
  2. 【写真】教室の講師と子どもたち  JR浜野駅前と五井駅前でダンススタジオを経営する堀切徳彦さんは、ダンス仲間にはNALUの…
  3.  市原市不入の市原湖畔美術館にて、企画展『レイクサイドスペシフィック!─夏休みの美術館観察』が7月20日(土)に開幕する。同館は1995年竣…
  4. 【写真】長沼結子さん(中央)と信啓さん(右) 『ちょうなん西小カフェ』は、長生郡長南町の100年以上続いた小学校の廃校をリ…
  5.  沢沿いを歩いていたら、枯れ木にイヌセンボンタケがびっしりと出ていました。傘の大きさは1センチほどの小さなキノコです。イヌと名の付くものは人…
  6. 『道の駅グリーンファーム館山』は、館山市が掲げる地域振興策『食のまちづくり』の拠点施設として今年2月にオープン。温暖な気候と豊かな自然に恵…
  7.  睦沢町在住の風景写真家・清野彰さん写真展『自然の彩り&アートの世界』が、7月16日(火)~31日(水)、つるまい美術館(市原市鶴舞)にて開…
  8.  子育て中の悩みは尽きないものですが、漠然と考えている悩みでも、種類別にしてみると頭の整理ができて、少し楽になるかもしれません。まずは、悩み…
  9. シティライフ編集室では、公式Instagramを開設しています。 千葉県内、市原、茂原、東金、長生、夷隅等、中房総エリアを中心に長年地域に…

ピックアップ記事

  1. 【写真】第1展示室  人々の暮らしを様々な面で支えている人工衛星。ロケットで打ち上げられた人工衛星は地球の周回軌道に投入さ…

スタッフブログ

ページ上部へ戻る